MOB-LOG

モブおじの記録 (Programming, 統計・機械学習)

Coffee調達 in Finland #3—ハンドドリップ編—

はじめに

本記事は 海外TUT Advent Calendar 2023 の20日目に寄せた記事です(大遅刻)。

FIは物価が高く、おいしいものを摂取するには高いお金を払わなければなりません。ならば普段飲むコーヒーはできる限り旨くQoLをキープして、最低限文化的な留学を送りましょうというシリーズです。今回はハンドドリップ抽出のレシピを改善する記事です。

TL;DR

フィンランドでいろいろなコーヒー豆を試して美味しいハンドドリップコーヒーを飲むためにレシピ最適化アプリを作った。」

コーヒーのハンドドリップ抽出のレシピを考えるとき、できるだけ美味しくなるようにヒトのセンスでパラメータを変更して改善しますが、

  1. 豆ごと(産地・焙煎度合い)に抽出する方法は異なるはずだが、それぞれの豆に合わせてレシピを考えるのが困難、
  2. ひとりの味覚・個人のセンスでレシピを改善していて果たして最善のレシピにたどり着けるのか、

という問題があります。そこで、個人の味覚に依らず統計的にレシピを改善するモバイルアプリを開発することにしました(Human in the Coffee Loop: HitCL)。ハイパーパラメータ最適化手法を使ってレシピを自動提案し、個人の味の評価に合わせて最適化していきます(いずれユーザー間でデータを統合して個人の味覚に依らない最適のレシピを作りたい)。なので人間は提案されたレシピに従ってコーヒーを淹れその味の評価を行うだけで、何も考えず旨いコーヒーを淹れて飲むマシンと化します。

現状は一般未公開ですが(かつ1つのユーザのデータに依存して最適化)、いずれ公開し、ユーザからのデータを集めることで複数ユーザの嗜好を基に最高の1杯を作り上げるつもりです。

背景

ハンドドリップで淹れるのが自由度が高くコスパが良い方法です。ただし豆によってはえぐみが強かったりするので、抽出時間やら湯温を変えレシピを整える必要があります。つまり美味しく入れようとすると面倒なので、ひとによっては続かずに断念してしまいます。またせっかくロースターから買った美味しい豆を淹れ方次第でまずくするのは非常に残念です。

ハンドドリップ (hand pouring) を面倒にする要素はおよそ以下の3つ

  1. 豆を自分で挽くのが面倒。 セラミックのミルだと確かにめっちゃ時間が掛かる(挽くのが時間が掛かるからインスタントに戻ったという人もいる)
  2. 器具が高い。 しっかりとしたミルを用意すると 15,000JPY やら 電動なら高くて60,000 JPYする。
  3. レシピを考えるのが面倒。 メモして味見して変更して、というのを頭で考えるのは非常に面倒。忙しい人には無理。

1は豆で買うことを前提としていますが(レギュラーより豆の方が旨いので)、 高い金属ミルを使えば何とかなります (KinGrinder K, P、TimeMore C、Commandante 、ミルっこ、Kalita Next G、など)。なので実質1は2と実質等しいですが、1万円を超える手動ミルは一生ものなので償却されません(つまり資産!!親から子へ引き継ぎましょう)。

つまり最終的にはレシピを考えるのに時間的、精神的に面倒だという部分がネックになります。でそもそもレシピってなんだ、ということですが、まず淹れ方の流儀が様々で例えば第15代ワールドバリスタチャンピオン(2012年)である井崎英典さんが薦めているのは、3回に分けてお湯を注ぎ、注ぐタイミングと湯量を調整するというものです。(1回で全部注いでええやろ、とか4回だとかいろいろな淹れ方がありますが、今回は井崎式のみを考えます)

お湯の温度、蒸らし時間、3回分の投入タイミング・量、スピニング・リンスの有無、豆と出来上がり量の比など、パラーメータの数が15項目ほどあります。私は毎日最低400gのコーヒーを淹れますが、忙しいのでそんなに考えている暇はありません(次第に適当になって、豆に関わらずバリスタおすすめのプリセットで済ませたりすることになります)。ともあれもっとおいしいコーヒーが飲みたいので「何にも考えないで美味しいレシピが欲しい」がふんわりとした要求になります。

ある豆に関してコーヒーレシピの最適なパラメータを求める問題は、単純においしさを最大にする最適解を求める問題は、$\bold{X}_\mathrm{awesome}= \underset{\bold{X}}{\mathrm{arg}} \mathrm{min} f(\bold{X},b)$と表せます(豆$b$についてパラメータ$\bold{X}$からおいしさ$y=f(\bold{X},b)$を最大化する。$f(\sdot)$はブラックボックス(世界の心理)なので深く考えません)。つまり既存の統計・機械学習のアプローチで解決できるって話です。後はヒトが使いやすいインターフェースを作るだけ、ということで作りました。

手法

ヒトが手軽に触れるインターフェースとして、モバイルアプリとして実装します。今回はGoogleさんのFlutterを使用します *1。そしてパラメータの最適化にはOptunaというパッケージを使います(Preferred Networks)。Genetic algorithmであったり焼き鞣し法のような他の典型的な手法でもいいんじゃないかという話がありますが、Optunaを利用すると比較的簡単に実装できるため、これを使用します*2

(開発の詳細、技術面は 『コーヒードリップレシピのパラメータ最適化 Human in the Coffee Loop (HitCL) モバイルアプリ』 にあります)

細かいことは以下の通り。

  • 評価方法:酸味・苦味・うま味・香り・えぐみを7段階で評価する。
  • 最適化条件:コーヒー豆別、ユーザー別で、評価値(=酸味+苦味+うま味+香り-えぐみ)を最大化する。
  • 器具:(今のところ) ドリッパーはV60、グラインダーはTIMEMORE C3で固定。温度調整できるコーヒーケトルと0.1g刻みで重さをはかるスケールが必要。
  • 最適化するパラメータ:
    • (お湯の注ぎ量の総量は400g=2杯分で固定)
    • 豆の挽きの細かさ(グラインダーのクリック数)
    • 湯温(℃)
    • リンスするかどうか(ペーパーフィルターをお湯ですすぐやつ)。
    • お湯対コーヒー豆の重量比 [g/g] (コーヒーの濃さが変わる)
    • 1投目(蒸らし):
      • 注ぎ量 [g]
      • 注ぎ時間 [sec](0秒—何秒までで上の注ぎ量をそそぐか)
      • 蒸らし時間(0秒から2投目まで時間)
      • スピニングをするかどうか(boolean)
    • 2投目:
      • (注ぎタイミング:蒸らし時間と同じ)
      • 注ぎ量 [g]
      • 注ぎ時間 [sec]
    • 3投目:
      • 注ぎタイミング [sec]
      • 注ぎ量 [g]
      • 注ぎ時間 [sec]
      • スピニングするかどうか(boolean)

アプリ概要 (Human in the Coffee Loop)

ヒトがやることは

  1. 淹れるコーヒー豆を選んで、
  2. レシピをリクエストし、
  3. レシピ通りコーヒーを淹れて、
  4. 飲んで評価する、

だけです。後は勝手にコーヒーがおいしくなっていきます。

メリットとデメリットは以下の通り。

  • なにも考えずに毎日コーヒーを淹れるドリップマシンになれる(レシピを考えなくていい)。
  • 最適化の速度が遅いため(ベストにたどり着くことはあるのか?)、淹れすぎ飲みすぎてしまうこと(カフェイン量を考えると毎日400gを2試行までしか回せないのでもどかしい)。
  • ハンドドリップは時間が掛かる(慣れたので自分は感じないが、面倒な人はいそう)。

レシピを考える時間が省略されたのと、確実にそれなりに美味しいコーヒーが淹れられるようになるので、ハンドドリップに手を出すハードルは下がったように思います。

アプリの様子は以下の通り(スクリーンショット)。

コーヒー豆の登録、レシピの一覧、レシピのサジェスト(reject or accept)、レシピの評価画面

結果

PualigのCafe New Yorkを使ってアプリの使用感を検証しました。[浅煎りの酸味が強い豆。FIでは浅煎りの方が一般的らしいので]これを30回以上入れた結果、体感ですが徐々に旨いコーヒーが出来上がっているように思います (n=1)。

試行ごの評価の改善具合(おいしくなっているか)

評価をプロットすると、試行ごと(trial)に全体的な評価が向上していることが分かります(トレンドが上向き)。ただ、開発者である自分が淹れて評価してを繰り返した結果なので、確実にバイアスが載っているはずです(徐々に旨くなるはずと思い込んでいるので評価に影響している可能性が高い)。

試行ごとのレシピ評価値(New York, Paulig. N=1, 75 trials)

最強のレシピ(暫定)

暫定の最高のレシピは以下の通り。強い酸味・うま味でえぐみが全くないめちゃくちゃ旨いコーヒーでした(誰か試してみて下さい)。

  1. コーヒー豆 28.8 g を 12-click で挽く (TIMEMORE C3を使用)
  2. 85℃のお湯を用意する
  3. リンスはしない(←ペーパーフィルターに湯をかけるやつ)
  4. タイマーをスタート、ドリップ開始:

    00:00-00:59 1投目 (蒸らし):

    • 94 g まで湯 94 g を 16 sec 程で注ぐ
    • スピニングなし
    • 蒸らしのために 59 sec 待つ

    00:59-01:26 2投目: 209 g まで

    • 115 g を 27 sec 程で注ぐ

    01:50-02:15 3投目: 379 g まで

    • 170 g を 25 sec ほどで注ぐ
    • スピニングする
  5. 湯が落ちたらドリッパーを外し、 残りの湯 (21 g) をポッドに直接加える (加水: 400 g まで)

パラメータの重要度

パラメータごとの重要度を比較すると、

  • 3回目の注ぎ時間
  • 豆・お湯の総量費(コーヒーの濃さ)
  • 蒸らし(1投目)の注ぎ量

などが評価に影響していることが分かります。湯温 (Temperature[℃])は体感はめちゃくちゃ重要なはずですが、思いのほか重要度が低く見積もられています。もしかしたら、どんな湯温でも淹れ方次第(注ぎ量・タイミング・時間など)で美味しくなるということかもしれません(要検証)。 それにしてもSpinningやらRinseやらの重要度は低く、味には影響しないように見えます。湯温と同様に淹れ方次第なのかもしれませんし(蒸らし時のスピニングは重要な気がしないんでもない。A/Bテストなどで検証すれば確実にわかるはず)、ドリップ時にどや顔でやっている小技はそこまで味に影響しないないのかも(挽く前に豆を湿らせるのは意味があります)。

パラメータごとの重要度(New York, Paulig. N=1, 75 trials)*3

展望

直近:

  • 器具と流派を条件付けできるようにしたい(異なるグラインダーだとやはり結果が違うしクリック数とかが異なる。井崎式だけじゃないし、ネルドリップしたい人もいるはず)
  • とりあえず一般公開したい(現在Androidの内部テスト版をPlay Storeで配信中。iPhoneは配信方法が面倒なので未公開)。

近い未来:

  • (特に地域のロースターが販売している豆について)コーヒー豆の販売者が「この豆にはこのレシピがおすすめです。理論値(我々の実験上)これくらい美味しくなります。」というアドバイスや味の目安(リファレンス)が示され、消費者が豆を選びやすくなる。
  • FIのハンドドリップ愛好家に布教する(現地のロースターとか)。
  • ユーザーが増えてデータが貯まったらコーヒーのレシピと嗜好について何かしら論文などで発表したいし、データセットを公表してKaggleコンペとかやりたい(レシピ評価値の予測など)。

遠い未来:

  • 評価・パラメータの改善機能を備えたコーヒーマシンを作りたい(スマホで操作してレシピを選んで評価を行う)。

おわりに

コーヒーのレシピを考える時間が省けて簡単にコーヒーを享受できるようになりました。どんな豆でも数十試行後にはそれなりに旨いコーヒーがので、いろいろな高価な豆に挑戦することができます(無駄にしたくない)。FIの現地のロースターを周って美味しい豆を買いに出かけましょう。

実験環境(おまけ)

仕様器具は下のとおり。

  • フィルター:HARIO V60 (VDMR-02-HSV, ステンレスの1—4杯分のやつ)
  • グラインダー:TIMEMORE C3
  • コーヒースケール:適当なやつ(400gまで計れて0.1g刻みであればよい。タイマー付きだけどタイマー自体はスマホとかで十分)。
  • コーヒーポッド:1℃単位で温度調整ができて、注ぎ口がいい感じのやつ(これ)。

*1:特にアクセス数が爆発するように思えないのでGCP=Google Cloud Platformで十分だろうというのと(初心者)、私はモバイルアプリエンジニアではないのでマルチプラットフォームで開発できる(iPhone版とAndroid版を一緒につくれる)という点で選びました]

*2:自身が深層学習のプロジェクトでハイパーパラメータチューニング目的で使用していたのでちょうどいい、という理由もありますBayesianであればXGBoostでもええやろとも言えますが、OptunaにはAsk-and-Tellという機能があり使いやすそうだったので。

*3:このプロットの値について詳しくは関知していませんが、ANOVAによる結果の様子なので、分散の小ささや主効果に関する値なのかもしれません

(アンチパターン)親知らずを抜かない海外留学

本記事は 海外TUT Advent Calendar 2023 の15日目に寄せた記事です。

14日目は『(脱法)睡眠管理 in Finland』を書きました。今日もカフェインを摂取して目を覚まし、メラトニンをキメていい夢を見たいと思います。

はじめに

よくある留学のTIPSでは「親知らずは抜いておいた方がいい。でないともしもの時に治療費がとんでもなくなる。」とよく書かれます。私は精神が未熟なのでよく逆張りをします。そしてこう思いました。

  • 親知らずを抜かずにもし留学中にポップして痛くなったとき、何が起こるのだろう?
  • TIPSに従って誰も親知らずを抜かずに留学していないとしたら、親知らずで痛む経験or抜く経験は貴重なのでは?
  • (あと、この歯いらないし邪魔じゃない?と歯科医師にお金を払うのは癪)

ということで抜かずにいたのですが、ついに親知らずがポップして痛みが来ました。

(ちなみに4本あるうちの左上の1本は留学以前に無事に処置要らずの軽症で生えてきたので、特に心配はしていませんでした)

ここではその体験を書きます。

症状・対処

今回生えてきた親知らずな歯は下あごの右側でした。以下は時間経過と症状・対処をまとめたものです。

  • まずは舌の先でつついてみて、なんか痛いのと歯茎のふくらみを感じました。ここで、温めていた親知らずがもしや?と思い当たりました。
  • 親知らずの認知から1日後(18時間後くらいの夕方)、ダルさと熱が出始め(正確に測ってはいない)、その日は汗だくになって寝ました。
  • 次の日(24時間以降のち)は熱とともに歯茎の痛みが極まっており、脈拍に伴って鈍痛が走ります。ここでデスクワークができなくなるのが癪なので、鎮痛剤・抗生物質を買いに薬局へ走りました(熱が出るのは繁殖した雑菌への生理反応なので、痛みはともかく抗生物質さえあればなんととかなると考えていました)。
  • 店員さんに抗生物質はどこか聞くと「処方箋はあるか?処方箋がないと購入できない」と教えてもらったので、鎮痛剤だけ買ってきました。購入したのはBurana(抗炎症剤=anti-inflamation)です。
  • 大人の場合は1日3状まで、1回1/2—1錠の接種が用法で、血管の拡張やら炎症による痛みが治まります。こいつを飲んでおけば熱も痛みも治まって(熱も収まるのはなぜ?)、日常生活を送ることが出来ました。
  • これを飲み続け5,6日後にはほぼ痛みが治まり、Burana要らずになりました。

Burana接種開始後に問題になった痛みのピークは

  • ジムでのトレーニング中と後(心拍数が上がったとき)、
  • 夜に歯を磨いた後、

くらいだったので、そこで1錠飲んでおけばなんとかなります(眠れないときはさらにMelatoninを飲みましょう)。

今回は、痛みの発生からBurana要らずになるほど痛みが治まるまで1週間程度でした。

Burana (ibuprofen)

Buranaは抗炎症剤で、Finlandでものすごく一般的な痛み止めの様です。内容自体はイブプロフェンらしく、関節炎や発熱、炎症の鎮痛に効く様子。

Finlandの医者に掛かると高確率でBuranaが処方されるため(〇〇痛の場合やねん挫など)、「いつもBuranaが処方される」というMEME (? )があるらしい。

When you always get prescribed Burana*1. 頭痛、heart attack、睡眠障害にもBURANAを処方される(?)と書いてあります(Heart Attackでも????)。

私も以前、ねん挫も何も外傷してないのに足首が炎症を起こし歩けなくなりましたが、病院行こうかなと考えていたらFinnの友達が「まずBurana飲めばいいよ」と教えてくれて、飲んだだけで炎症が収まり問題がなくなりました。(疲労でひびが入ったのかと思ったものの、骨には問題がなくただの関節の炎症だったみたいです)

Buranaは万能(炎症の鎮痛と抗炎症に限り)。

(発熱の所為か、Buranaの副作用なのかはわかりませんが、酸味への味覚が薄まった感覚がありました←浅煎りのコーヒーがおいしくなかった)

結論(事前に抜くか・抜かないか)

親知らず経歴をまとめると、

  • 1本(上あご左)は日本で何事もなく(痛みのみ)生えてきた。
  • 1本(下あご右)は、今回自身を実験台にし潜在的な歯を抜かずに放置した結果、無事に抗炎症剤(Burana)で乗り越えられた。
  • 残り2本 (下あご左、上あご右) が潜んでおり、どうなるかは不明。

2/4で治療の必要がなく、残り2/4は未知です。

ここで留学前に抜くか抜かないかの選択を改めて考えると、別に抜かない選択肢を取る意味は特にありません。

  • 留学中親知らずが生えてきて大変だった自慢をしたい人、
  • 人生がつまらなくてリスクを味わいたい人、
  • 海外の歯医者に掛かりたい、保険を使用する経験をしたい、知的好奇心があふれた経験廚の人、

は残せばいいですが、親知らずを抜かない程度ではそこまで大事にもならなさそうです。

もし、自分親知らず抜いてないんだけど、という人も、今回の様に抗炎症剤を飲んでしっかりと歯を磨いておけば(健康で生え方に問題がなければ)痛みを凌いで何とかなります(しらんけど)。

学び

今回のTIPSです。

  • 軽度の親知らず(?)はBuranaで十分(他の炎症・腫れも大体Buranaで大丈夫)。
  • 抗生物質(anti-biotics)は処方箋がないと買えない(逆に抗生物質さえあれば何も問題がないと考えていたので一時は絶望しました)。
    • なので銃で撃たれたときは薬局に行かずに病院へ行かないと抗生物質は手に入りません*2
  • なにか怪我やらがあれば電話の準備を。
    • 電話をしないと予約できません(オンラインで症状等情報をまとめてから予約しろという情報を見かけましたが、最低でもPilice Card (Residence permit cardの強い版) によるオンライン身元確認が必要なので滞在1年未満予定の留学生には難しいのと、そもそも私のいる地域ではオンライン予約に対応してませんでした)。
    • General Practitioner (GP) の診察を受け、重大であれば専門医に推薦状をもらう、というシステムで時間が掛かるため、覚悟を決めたら早めに電話しましょう。
  • 親知らずは留学前に抜いておくのがベター(保険とか問題はなくとも、留学先サバイバルをしたくなければ面倒)
  • FYI: 痔を治療しない留学を実践した留学経験者の治療体験を発見しました。さて、私は痔持ちだぞ。

事前に抜いたほうが面倒はないので、みなさんは抜きましょう(他人の歯なんてどうでもいいので何とでも言います)。

おわりに

おわり。

16日目は今井裕之輔さん【合格体験記】トビタテ!留学JAPAN15期1次審査書類作成編!です。

*1:When you always get prescribed Burana - Very Finnish Problems, Very Finnish Problemsより引用

*2:病院に行けない身の上の人が銃で撃たれて薬局で抗生物質を入手するのをアメリカのクリミナルドラマで見ました。

(脱法)睡眠管理 in Finland

本記事は 海外TUT Advent Calendar 2023 の14日目に寄せた記事です。

11日目と13日目の今井さんの投稿は、手持ちのPCが壊れてしまい滞ってしまっているようです(新しいものを用意でき次第投稿)。 12日のイットリウムさん『海外留学を目指す技科大生が応募できる奨学金』は非常に有益でした。場合によってはJASSO以外にも様々なオプションがありチャレンジの甲斐があります(JASSOだけでも十分に充実しているけども)。その点でもトビタテ奨学金の書類審査に関する記事 (13日の今井さん) は有益なはずで、楽しみにしています(私自身は2024年度のトビタテ奨学金をトライしようとしています)。

はじめに

睡眠管理についてのいかがでしたか記事です。TIPSを紹介します*1*2

背景・問題

フィンランドの日照時間はバグっています。 夏時間は夜10時まで日が沈まず、朝の4時には日が昇る(暖かいからいいけれども)。逆に冬(10—5月)は夜の4時には日が落ちて、昼も曇りが多くほぼ直射日光が当たりません。

正確さを確保するために今日(12月14日)の日の入り・日の出を確認したところ、8時から徐々に明るくなり15時半には真っ暗になるようです(太陽を拝めるのは賞味5時間。日本だと10時間ほどらしい)。さらに冬は曇りが多いため日を拝める機会はもっと少なくなります🤦*3

つまり夏は明るくて眠れず、冬はUVの照射不足→ビタミンDの合成不足→夜の不眠が問題となります。さらに冬は寒すぎて防寒のために露出が少なくなるため、合成に必要なUVは目や顔でしか接種できません。これではPokémon Sleepが楽しめません。

暮らしている中で見つけた解決策を紹介します。

解決策

フィンランドでは日照時間による不眠問題は当然のように議論されているため、幾つかの解決策が存在します。(後ろに行くほどケミカルになります。)

運動する・サウナ

運動して疲れれば眠くなります。またビタミンD不足により引き起こされる鬱に対しても有効です。UEF (Joensuu) にも多くの運動機会が用意されています。後にアドカレのどこかで紹介されるはずですが、学生が使用できるトレーニングスペース・ジムが身近にいくつもあります(福利厚生100点)。筋肉はすべてを解決します。

フィンランドではより簡単に身体に疲労を与える方法が用意されています。それは、サウナに入ることです。サウナ事情についてはどこかで述べますが、大体のアパートに共用のサウナが付いています(人権)。個人的な感想として、サウナした日は疲れか深部体温の変化かわかりませんがよく眠れます。

コーヒーを摂取する・しない

対症療法かもしれませんが、鬱と不眠による眠気にはコーヒーが効きます。眠くてやる気が出ない、気分が落ち込み気味であれば、コーヒーを飲みましょう(布教)。逆に寝る予定の6時間前にはカフェインを摂取しないようにします。

ビタミン剤を摂取

一番簡単で単純な解決策はビタミン剤を飲むことです。ビタミンDの錠剤は日常のどこでも入手できます(S-market/K-market/薬局)。

スーパーマーケット(S・Kマーケット)ではビタミン剤の棚の1列がビタミンDで埋められています。

市販のものを見る限り、1日摂取量上限の半分程度が含まれる錠剤が一般な気がします。普段のUVBからのビタミンD合成は日中に行われるため、それに合わせて私は朝に接種するようにしています(根拠なし)。

脂溶性ビタミンDが錠剤の接種でどれだけ効果的に吸収されるのかは判然としないので(食事と一緒に飲むべき?)、本来であれば食事で補う・日光で合成がベストです。ただし貧乏学生には難しいため、躊躇せず接種するべきでしょう(ただでさえデスクワークばかりで外に出ないのだから)。

メラトニン錠剤(脱法!!!)

メラトニンは(人体において)暗くなることで脳の奥の奥にある松果体で生成される化学物質(睡眠ホルモン)で、生成されることで睡眠が誘発されます(つまり眠くなる)。この睡眠ホルモンを経口摂取することでも、十分に効果があるようです。睡眠障害に悩むフィンランドの薬局には、メラトニンの錠剤が売っています。

ただし、「日本では製造・輸入・販売することは認められていません」らしいです(業としてはダメ)。つまり脱法!*4(摂取量などによる危険性・安全性についてはエビデンスがない様子なので、自己責任です)

https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/0903/h0326-1.html

我が国では、薬事法により、業としてメラトニンを製造、輸入、販売することは、認められていません。

そして副作用として、「夢を見やすくなる」というものがあります。深い眠いなら夢は見ないんじゃ?と疑問は持ちますが、機序はわからないものの「錠剤を摂取」→「超深い睡眠(ノンレム)」→「もう十分ノンレムしたからレム睡眠でいいや」→「夢を見る」と自分を納得させています(知らんけど)。

私が使用しているものは、寝る前の30—60分前ほどに1/2—1錠の接種、という錠剤タイプです。舌の上ですぐに溶け余計な味もないため、水なしで接種できます。薬局でトランスクリプト(医師の処方箋)なしで購入できます。(詳しい接種方法はボトルに書いてあるのと、購入時にクラークに確認しましょう。)

ORION Pharmaのメラトニン錠剤。顆粒・粉のものもありますが、錠剤の方がのみやすいです(口に含むと唾液で十分溶け、1回1粒・半粒でわかりやすい)。睡眠前の1時間から30分前に飲むとよいと書いてあり、実際、シャワー後に摂取して眠くなり、よくスマホを充電する前に寝落ちしています。

おわりに

いかがでしたか?今回は快適な睡眠管理方法を紹介しました。皆さんもジムとサウナで身体を酷使し、ビタミンDメラトニンを一服キメていい夢を見ましょう

15日目は「(アンチパターン)親知らずを抜かない海外留学」を書きます。

おまけ

ChatGPTはうそをつきます。

*1:FIで睡眠、と聞いてOura Ringを想起した人がいるかもしれませんが、学生には手が届かないため今回は触れません。ほしい欲しいと思いつつ手に入れられていないためコンプレックスになっていて、ストレス解消のためにどこかでまとめたいものの手元にないと書きようがありません🤷

*2:UVBライトを使用したビタミンD合成は日焼けするので取り上げません。陰キャなので

*3:ジョジョ1部の舞台が北欧だったらDIOは石仮面を酔っ払いに試した時点で死亡しています(逆に夏ならDIOは人間をやめた後、館の前ですぐに死にます)

*4:FIやJPで使用する範囲では全然合法です。持ち込んで売り始めたら自首してください。

フィンランドでハンドドリップ用の器具を揃える話(コーヒー調達 in Finland #2—器具編—)

昨日5日目の記事では学歴ロンダリングポエムを書きました。 フィンランドでコーヒー環境が充実していることを示しましたが、おいしいコーヒーは手放しでは得られません。ここではフィンランドでコーヒーQoLを向上させるためにできることを紹介します(今回は充実していない点に触れます)。

結論はハンドドリップ用の器具を用意することになるので、本題はどうやってそれらをFIで調達するかになります(なぜハンドドリップなのかは最後のおまけに示しています)。

TL;DR

上から順の優先度で用意するとFIでのQoLが徐々に上がってきます。

  • まずミルを買いましょう(日本で買って預け荷物に突っ込んでおくべき)。ミルを買うと豆で買えて鮮度が保てるのでよい。
  • コーヒースケールを買う(豆量・注ぎ量・時間をトラックする)。
  • 温度調節可能なケトルを買う(現地調達←日本で買うと対応電圧が異なるので現地で購入)。
  • HARIO V60系 (+TIMEMORE C3) のものを一通り集めると合計 33,000 JPY
  • 妥協すれば安く済むが、結局揃えたくなる(人に依る)。

ベストな方法(ハンドドリップ)

色々ごちゃごちゃ御託は置いておいて、結論から言うと 「Amazon.jpとAmazon.deを駆使して鮮度がよい膨らむ豆で淹れるためにミルを買い、ハンドドリップのセットを一通り用意しよう(コーヒースケールと温度調整可能なケトル)」 になります。

ハンドドリップをする理由は、いずれ自身のコーヒーへの要求がエスカレートしてハンドドリップにたどり着くからです。ハンドドリップとは引いた粉をドリッパーに入れて、上からお湯を垂らして抽出する方法です(スタバ店員とかがやっていること。→参考)。

以下の器具を用意します。

  • Hario V60 ドリッパー (+ペーパーフィルター)
  • コーヒーサーバー(抽出したコーヒーが落ちて貯まるポット)
  • ミル(グラインダー。豆を砕いて粉にする)
  • コーヒー注ぎ用のケトル(温度調節可能なもの)
  • コーヒースケール(注ぐ量・時間をリアルタイムで計測するため)

ハンドドリップ用の器具(FIで揃えた)

ハンドドリップ (pour over) 用器具の調達

私がいるJoensuuでは見つかりません。勿論HelsinkiやOuluやら栄えた場所に行けば見つかるとは思います(近くてLappeenrantaかKuopio)。日本とは違いFIにはハンドドリップの文化は薄いようで、器具の調達には苦労します(Webを探索したところ、TampereのRoasterのmokkamestarit.fiがオンラインで器具を売っているくらい←フィンランド語で探せばもっと見つかるかもだが)。

結論から言うと、上記の器具をすべてそろえると3万円以上します。使用するのは amazon.co.jpamazon.de です(FIに来てまでAmazonに頼る敗北感)。

古いデータですが(1年以上前)、フルで揃えると合計33,000 JPY になりました。以下が内訳。

amazon.co.jp から購入する場合
  • HARIOのコーヒーサーバー:3,300 JPY
  • HARIO V60 ドリッパー:2,244 JPY
  • V60用円錐形ペーパー(およそ1年分):1,500 JPY
  • コーヒーグラインダー TIMEMORE C3 (PROじゃなく無印):11,000 JPY
  • 送料(+Amazon Global の輸入税とか為替保障料金とか):5,000 JPY
  • 合計19,000 JPY(余計な温度調整なしのケトル3,000JPYが含まれているので抜く)

AmazonGlobalの手数料はおおよそ輸送量と為替保証料・輸送先の国ごとの輸入課税で、JP→FIであれば 5000 JPYほどになった。25,000JPYくらいまでなら輸入税がそこまでかからないので、JPでしか買えないシャンプーとかを合わせて買おう。25,000 JPYを超えると、製品価格の21%ほど増した料金が課される様子(内訳は明記はされていない)。参考に、商品の小計が 25,881 JPYだと手数料が5,229 JPYで収まった。

AmazonGlobalの手数料はおおよそ輸送量と為替保証料・輸送先の国ごとの輸入課税で、JP→FIであれば 5000 JPYほどになった。25,000JPYくらいまでなら輸入税がそこまでかからないので、JPでしか買えないシャンプーとかを合わせて買おう。25,000 JPYを超えると、製品価格の21%ほど増した料金が課される様子(内訳は明記はされていない)。参考に、商品の小計が25,881 JPYだと手数料が5,229 JPYで収まった。

amazon.de からから購入する場合

ということで合計が 33,000 JPY ほどになります。

温度調整ケトルを揃える場合、FIの定格電圧に合わせるためにはJPから購入すると事故ってしまうため(FI:AC220—230V vs JP:AC100VでW数が高いケトルはやばそう)、amazon.de は欠かせなくなります。またHARIOのコーヒーサーバやペーパーフィルターがDEやFIではべらぼうに高いため(倍くらいする?)、上の様にamazon.co.jpamazon.deを併用せざるを得ませんでした。

また参考に、すべて AMAZON.DE で集めると 270 EUR\approx42,000 JPY しました(TIMEMOREがプロモーションで安くなっているともう少し安くなるはず)。

日本とドイツとでの調達の比較

amazon.co.jpで同じ価格 32,000 JPYで調達できる?(TIMEMORE C3のセールで割引あり)

セール込みの価格でJP内での配送で 32,000JPY

妥協する場合

上で示した通りすべて揃える場合は結構な価格になるので、妥協できる選択肢を示します。

妥協する選択肢は、

  1. 粉上の豆(レギュラー)を購入して共用のMoccaMasterで淹れる。 費用:0 JPY34,000 JPY節約
  2. ミルだけ購入して共用のMoccaMasterで淹れる。 費用:11,000$ JPY23,000 JPY 節約(渡航前に日本で買っておこう)。
  3. V60のセットは揃えて、温度調整可能はケトルは沸騰したお湯を移し替えて冷ますことで代用しハンドドリップする(それでも注ぎ用のケトルは必要)。 費用:24,000 JPY10,000 JPY 節約 (スケールもamazon.co.jpで一緒に購入)
  4. amazon.de からハンドドリップセットを購入。 費用:130 EUR (温度調整すると +70 EUR) →  \approx 20,000 JPY (or  \approx 30,000 JPY)

が可能です。ハマれば徐々に揃えればいいかなと思いますし、普段缶コーヒーやインスタントコーヒーを飲んでいる人は粉で淹れたコーヒーに感動して、レギュラーで淹れて飲んでいるひとは豆をその場で挽いて入れたコーヒーに感動して、要求が徐々にエスカレートしていきます(n=1の体験談)。

私の場合は結局、妥協して省略した部分が後ほどほしくなってすべて揃えることになりました(結局温度調整可能なケトルを後で購入しましたし、そもそもミルだけでも渡航時に持ち込めばよかったと後悔しています)。

おわりに

FIでのコーヒー体験を向上させるために、妥協しながらハンドドリップコーヒーの器具を調節する方法(例)を紹介しました。結局はamazon.de/amazon.co.jpに頼らざるを得ませんでしたが、いつかFIでもハンドドリップが一般になり器具調達のコストが抑えられるようになることを願っています(FIの企業が販売すると利ザヤが増えて逆に高くなる気がするけど)。

ハンドドリップってどうやってやればいいの??という話は後の記事で書きます。

(明日のアドカレの投稿は現段階では予約されていません)

余談 (ごちゃごちゃとした御託)

以下の内容はWebのどこでも見つかる内容で冗長なので飛ばしました。とりあえず残しておきます。

豆・レギュラー

コーヒー豆を買うとき、どの形態かは非常に重要です。普段缶コーヒーやインスタントコーヒーを飲んでいる人は粉で淹れたコーヒーに感動して、レギュラーで淹れて飲んでいるひとは豆をその場で挽いて入れたコーヒーに感動します(n=1の体験談)。

日常的にとれる選択肢は、

  1. 粉のパックを購入(レギュラー)
  2. 挽いていない豆の状態を購入(豆。スーパーかロースター)
  3. コーヒーショップで購入しその場で挽いてもらう
  4. Robert’s coffeeで飲む

があります。

1の粉は最悪です。製造段階で粉にされ商品棚に陳列し続けるためか、新鮮さが足りません(お湯を注いでも膨らまない)。賞味期限(製造から1年)を過ぎたものが商品棚に平然と並んでいたりします。(消費が多いからと言って品質を気にしているわけではありません。)

新鮮で膨らむ豆を楽しみたい場合は2がベストですが、自分で挽かなければいけないため、ミルが必要です。ミルがない場合はコーヒーロースターで挽いてもらうのがいいでしょう。ただいずれ気づくことになると思いますが、ロースターから買う豆は高級品です(当然おいしいが高い)。毎日飲むには懐がキツイので、ミルを買う方がコスパがいいはずです。

4のRobert's CoffeeはFI発のロースターが20世紀から営んでいるコーヒーショップで、非常に歴史が深い。単純なドリップだけでなくエスプレッソ等手を入れたコーヒー飲料があるので、営業時間内で寒い冬に外に出てとりあえずおいしいコーヒーが飲みたいならこれでよさそう。

器具(方法)

おいしいコーヒーを自分で用意して飲みたい場合(安上り)、ハンドドリップ(pourover)は避けられません。コーヒーメーカー(Mocca master)で淹れればいいじゃないか?いえ、あれらは2—10杯淹れる用のマス向けのコーヒーメーカーです。彼ら(Finn)は結婚式に来賓をもてなすため、30—40杯同時に抽出するコーヒーメーカー・サーバーを用意します。

コーヒーメーカーとハンドドリップの比較は以下の通り。高専・TUTの皆さんはエンジニア・科学者なので、自身の好みに合わせたコーヒーを追い求めるためにハンドドリップを用意しましょう。

コーヒーメーカー

  • 一気にボタン一つで大量に淹れる。
  • FIの研究室に大体共用のものが1つある(Moccamaster)。
  • 味が毎回同じでいずれ飽きる(ミルを買えば調整できるが)。
  • 169 EUR(自分で買うとなると高価)

ハンドドリップ

  • 1—4杯分を淹れるために10分かかる。
  • 器具の用意が困難
  • 好みのコーヒーを抽出できるので圧倒的に旨い
  • 自分で手を掛ける分、旨い気がする(イケア効果)
  • 抽出が単純に難しい
  • 器具が高い ← 34,000 JPY

【令和5年最新版】高専生用 新しい形の学歴ロンダリング ★★★★★ 11件

こちらの記事は海外TUTアドカレの5日目に寄せた記事です。

4日目は今井裕之輔さん『高専生2度目の短期留学!in NZ🇳🇿』で、高専時代にニュージーランドへ留学した経験を紹介した記事でした。高専のプログラムで単純な語学交換留学だけでなく、工学系の講義が学べるのは非常に魅力的でうらやましいですね。

外TUTアドカレ5日目は、豊橋技術科学大学(TUT)で利用できる(公式の)海外渡航プログラム概要を紹介します。まずはじめにこれをやるべきだと思っていましたが、なぜかコーヒーの記事を先に予約していました(?)

はじめに

豊橋技術科学大学(TUT)には、

  • 海外実務訓練(短期・長期)、
  • 海外交換留学・インターンシップ
  • 情報知能工学系(3系、Department of Computer Science and Engineering)の留学プログラム(DDP/IMLEX)、
  • 機械工学系(1系:Department of Mechanical Engineering)の留学プログラム(DDP)、
  • 留学やら渡航とは直接関係がないものの国際活躍に重点を置いた教育プログラム Global Technology Architects Course (GAC)

があります(私が知る限り)。

ここで高専生にアピールしたいことは、これらプログラムによって学歴ロンダリング通常では得られない教育・経験が得られるということ。

今までの高専生のキャリアパスでは「高専本科→TUT/NUTの学士課程→日本有名大学の修士課程」が可能でした。

そしてこの記事を読むことで高専本科→TUTの学士課程→特定の専門性を持った海外大学」というグローバルなロンダリングが可能だということに気づくでしょう。

留学プログラム概要

海外実務訓練(短期・長期)・海外インターンシップ

TUTにはインターンシップが学士(Bachelor)の必修単位に含まれます(5年前知識。実務訓練と呼ばれている)。実務訓練では(研究室間の伝手は必要だが)海外の企業・研究機関(大学の研究室含め)を選択することができ、45日間(短期)もしくは5, 6か月(長期)のインターンシップを行います。学士の段階で海外でインターンシップ行うことができるのは非常に大きい。

身の回りではドイツ・フィンランド・スイスに6か月渡航した3例を観測しました(ダルムシュタットへの長期実務訓練についての記事)。

そして実務訓練とは別に、交換留学海外インターンシップという制度もあるようです。内容は個別で異なるため不明ですが、交換留学では交流協定校で工学を学ぶことができ(語学留学だけじゃない)、海外インターンシップでは海外の企業、官公庁、研究所、大学等における実習(研究や仕事)に対して単位がもらえる様子(修了要件には算入しないらしいが)。

Double Degree Program (DDP)

ダブルディグリー制度(DDP)は2大学に所属し各々単位の取得・研究を行うことで、2つの学位を修めることができるプログラムです。TUTでは海外大学への留学を含めたDDPが設けられています(詳細:TUT HPより「ダブルディグリー・プログラム」):

DDPではお互いの大学間で単位認定があるため、それぞれの学位に本来必要な単位数のいくつかを共有してより少ない単位数で学位を取得できます(1学位以上、2学位以下のボリューム)。

IMLEX (光イメージング情報学国際修士プログラム)

IMLEXはDDPを光学に特化させた3学位修得プログラムです。情報・知能工学の学生が応募できます。

拡張現実技術 (XR) の基盤となるイメージング、レンダリング、ライティング技術とその認知科学的作用を理解・習得し、ロボティクス、AI 等と組み合わせることで、拡張現実技術を社会実装可能なアプリケーションとして展開し応用できる 国際的人材を目指す、2年半の修士プログラムです。

以下の複数大学

  1. TUT、
  2. フィンランド大学、
  3. ルーヴェンカトリック大学(ベルギー)もしくは サンテティエンヌ ジャン・モネ大学(フランス)

を順次留学しながら光学(Color science, Optics, XR, Deep learning, 3D color-rendering等)を学び単位を履修、研究を終え、3つの学位を修めます。

グローバル学歴ロンダリング

学歴ロンダリングってなあに?という純粋な高専生のおともだちは、身近な高専の教員さんに聞いてみてね。学ロンは意外と身近にあります)

特定の企業からすると、高専出身者と言えばエンジニアリングに特化した優秀な人材、という印象があるでしょう(過去にその企業に就職したOB/OGがそういった印象を残したため)。ただそうでない企業からすると、「短期大卒ね」で終わるかもしれませんし、技術科学大学は(OB/OGの活躍やロボコンなどを知らない、学歴重視の企業からすると)大学偏差値で足元を見られるかもしれません(すべて私の私見・偏見です)。そういった企業を見返すためにも、学歴や資格・業績を積む必要があります。

そこで役に立つのがDDP/IMLEXです。上記の通り、DDP/IMLEXは交換留学とは違い、複数学位を修める履修プログラムです。つまりは複数大学に所属するということを意味します。つまり東フィンランド大学や、Jean Monnet、KU Leuven卒だぜ、と言えるのです(世界大学ランキングも調べてみましょう)。

そのため冒頭で示した「高専本科→TUTの学士課程→海外大学」というキャリアパスが履歴書に残ります。高専・技科大出身のエンジニアリングの強み+海外大学出身というグローバル要素を付加できるのです。それだけではなくEU圏の海外大学の学位は海外での就職活動にも役立つでしょう。

ただ「詐欺では?」と感じるかもしれません。ですが全くそんなことはありません(下記で説明します)。

学歴ロンダリングは悪いことではない

高専で即戦力となりえるような専門技術を学びながら、高専履修要項にはない日本大学センター試験のお受験科目のお勉強をすることは非常に難しいことです。学ロンでは一時的に大学学部(この場合はTUT)で専門技術・学術教育を受けながら、お受験のお勉強をして目的である他大学の修士課程の入学試験突破を目指します。

TUT学部で履修要覧にある義務を果たしながら、高みを目指して追加で努力することに負い目を感じることはありません。そして目標を海外大学とするグローバルロンダリングの場合、学部で学びながら海外大学で学ぶための英語力を鍛えることになります。

学部でいきなり海外大学へ目指すほど英語コミュニケーション能力(Reading, Writing, Lisning, Speakingのすべて)がある場合はこんなロンダリングは必要がないですが、皆さんご存じ日本の教育課程では手放しに身に付くわけがありません。技術に特化した学びを得ようと入学した高専では特に、専門技術を学びながら大学入学レベルの英語スキルを準備することは相応の努力を要し、さらにお受験もこなすことは多くの人にとって非常に困難です(技術他に特化していてグローバルなキャリアを望んでいても英語が苦手な人もいるはずです)。

つまりはTUTの教育課程の傍らで追加で努力して、高専では修得しきれなかった日常生活・講義の受講・研究でのディスカッションに必要な英語スキルを培おうということです。

日本の大学は入るのが困難で(高倍率お受験)、出るのが簡単(卒業研究は努力賞、卒論はポエム)と言われますが、海外大学はどうでしょうか?出るのが簡単であるはずがありません(さらに英語ですべてを行うわけですから、より厳しいはず)。海外大学を最終的に修了することができたなら、それは「相応の努力した」「学びを得て成果を出した」ということです。学歴ロンダリングは、努力の結果手に入るものです。

お受験を突破した純正エリートからしてみればずるいと言われるかもですが、履修要項は満たしているなら負い目はありません。高専生には+αで専門技術があるはずなので、その得意を誇りましょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか?TUTにおけるグローバルプログラムの概要と、その(学歴)キャリアパスについて紹介しました。今までは日本有名大学へのロンダリングが可能でしたが、今や高専生にとってTUTは海外大学へのゲートウェイ大学になったと思います。(自身の学歴ロンダリングを納得・正当化するためにこの記事を書きました)

ロンダリングの末のその後のキャリアパス(どういった企業に売り込めるのか、どれほど反応が良いかなど)は、だれか他の人が書いてくれると信じています。

コーヒー調達 in Finland #1—基礎編—

この記事は海外TUTアドカレの2日目に寄せた記事です。

1日目は、今井裕之輔 さん『高専生のはじめての海外留学 in Australia 🇦🇺』でした。記事中にあった

同じ国の人たちで固まってずっと母語でコミュニケーションを取ってしまう。

は留学あるあるのアンチパターンで、私が2019年に留学した際に経験しました(うんざりです)。現地で英語話者の友人を見つけましょう。

フィンランドとコーヒーについて書きます。

TL;DR

  • FIでの国民1人当たりのコーヒー豆消費量が世界1位になった(2023年発表)。
  • FIで豆を買ってコーヒーを淹れると0.6倍の価格で旨いコーヒーが飲めて安い (36JPY/cup vs. 60JPY/cup)。
  • コーヒーを飲もう。

はじめに

私はフィンランドに留学をしています。もちろん研究にはカフェインが必要です。ここでは留学中にどのようにしてカフェインを確保するかを紹介します。

カフェインの接種方法には様々ありますが、とはいえフィンランドにおいては接種方法は決まっています。コーヒーです。

なぜコーヒーなのか?理由はいくつかあります。

  1. コーヒーにはカフェインによる興奮・覚醒作用やらの薬理作用だけではなく単純に旨いという利点があります。
  2. コーヒー文化が根付いているので、FIにいてコーヒーを飲まない理由が特にない(国民あたりのコーヒー消費が世界1位)。
  3. FIには高専生の実験レポート御用達のカフェロップエスタロンモカ錠はありません。
  4. 紅茶を飲んでもよいが、1日のカフェイン摂取量に健康上の制限があるのに紅茶を飲んでしまうとコーヒーを飲む分が減ってしまう。紅茶を飲むとコーヒーが飲めなくなるので、コーヒーを飲むべきです。
  5. Monster EnergyやらRed Bullなどのエナジードリンクに含まれる人工甘味料を摂取すると、その後コーヒーを飲んだ時の味覚がおかしくなる。コーヒーがおいしくなくなる飲み物は飲むべきではありません。

以上、中立な立場から考えた公平な理由です(単純にコーヒーが好きだからではありません)。

ということでFIとコーヒーについてだらだら書きます。

フィンランドのコーヒー事情

コーヒー文化 in FI

フィンランドにコーヒーの文化が根付いていると上で書きましたが、実態は想像を超えるでしょう。以下は私が現地で体感したコーヒー文化です(他Webで調べられるような統計値やらはWebで調べて下さい)。

  • 2023年のコーヒー消費が世界一位になっています(WorldAtlasより)。

    昔は北欧の中でも4位とかその辺だったはずが現在は1位 🎉

  • FIには、「カハヴィタウコ」というコーヒー休憩文化があります。

    日本の労働基準法で、6時間の労働に45分の休憩時間を設けるのと同じように、6時間に1回のコーヒー休憩を取ることが労働者の権利として保障されているのです。

    • カンファレンスやらホールで行うようなイベント(ビジネスピッチやらネットワーキング)に参加すると、休憩時に軽食と伴にコーヒーがサーブされる(他に紅茶やミルクも)。
  • 大学のカフェでランチを取ると(高確率で)コーヒー1杯が付いてくる。

    無料じゃなくとも、ランチと一緒であれば60 centとか非常に安い価格で購入できます。私がいる大学のカフェテリアでは明文化されていないので知りませんでしたが、FIの友人に聞くとそうらしい(書かなくてもコーヒーが付いてくるのは当然でしょ、ということなのかね???)。

  • コーヒーを飲みながらミーティングをしましょうねの文化。

    私が所属する学科では、水曜日の朝はスタッフでコーヒーミーティングをして、午後にはコーヒーを飲みながら学生と教員のレクをしましょう、を文化付けようとしています。

    Head of Departmentが習慣づけようと言っています。

  • フィンランド企業は1日のコーヒー消費量(cups/day)をトラックしています。

    スタートアップ企業がピッチで「我々は2—4 cups/day/person の消費で頑張っています」が定番ギャグです(?)。

  • 研究室のオフィススペースには必ず共用のコーヒーメーカーが備えてある。

    (今まで4件中4件の研究室で確認済み)

    共用スペースには主にMoccaMasterというブランドの2—10杯ほど淹れるためのコーヒーメーカーが置いてあります。時に奮発して簡易エスプレッソマシンが置いてあったりします(De'Longhiほど本格ではないにせよ、濃いコーヒーが出てきます)。

  • 結婚式には来賓をもてなすために一度に40杯分を淹れられるコーヒータンク(?)を購入・レンタルする。

    1人購入したって言っていました。まじかよ。購入ってことは、今後使う可能性があるってコト????

  • 1日にコーヒーを5杯飲む機会がある。 フィンランドの友人が朝食・昼食・夕食など、ご飯を食べるタイミングを教えてくれました。レギュラーな食事と軽食2回を含めて計5回あります。夜の軽食 (iltapala=evening snack)を除いて寝起きとそれぞれの食事中、コーヒー休憩を含めれば5回はコーヒーを飲むタイミングがあるということです。知人曰く、朝インスタントコーヒーを飲んで目を覚まして、コーヒーメーカーで淹れたちゃんとしたコーヒーを朝飯時にまた飲む、らしいです(FIのコーヒージョークかリップサービスかもですが)。

    FIの食事タイミング(最多オプション)。

豆選び

カフェテリアやコーヒーショップに行けばコーヒーを購入できますが、せっかく研究室にコーヒーメーカーがあるので、自分で豆を選んで淹れて飲みましょう。

K-market/S-marketには沢山のコーヒー豆が陳列されています。

深煎りを選べば何も問題はありません。浅煎りはえぐみ・酸味が強く扱い難いので、まずは深煎りを確保して、たまの遊びに浅煎りを買いましょう。豆(もしくはレギュラーの粉)はFIに点在するスーパーK-marketもしくはS-marketでどこでも買えます。何を買ってもそれなりに旨いはずですが、最低でも製造日(PD)が近いものを購入しましょう。製造から1年過ぎた賞味期限ものも棚に並んでいたりするくらい陳列が適当なので、毎度自分の目で確認すべきです。

私のおすすめはLÖFBERGS

です。フィンランド人の友人もこれを買っているので、まあ無難なはず(フィンランドコーヒーはめっちゃ浅煎りがメジャーらしいが深煎りもめちゃ旨い)。浅煎りよりも深煎りの方がカフェイン含有量が少ないですが(焙煎時の熱で飛んでしまう)、カフェインの量が少ないということは、1日でより多くのコーヒーを飲めるということです(この記事の趣旨は旨いコーヒーを沢山飲むことに変わりました)

価格感

スーパーに並んでいる豆を見る限り、1パック400gで6—7EURの製品が一般的です。つまり 15EUR/kg=240JPY/100gで、2杯で約30gの豆を使用するとすると、36 JPY/cupくらいになります(2023/11月時点の160JPY/EURを使用)。

マイルドカルディより断然安いです(マイルドカルディは61.5JPY/cup)。マイルドカルディはスタンダードで特に高くはないという認識でしたが、こう考えると高いような???北欧のコーヒー文化の努力なのか(調達面)、それとも日本の円安/物価高???

マイルドカルディの価格推移

私が認識していたマイルドカルディは5年前の2017年時点の500JPY/200gの価格感でした(37.5 JPY/cupレベルなので、私はマイルドカルディを豆が高い・安いの目安に使っていましたが、現在は)。2017→2023年で110→145JPY/EURなので、円安の進行の影響はあるかなと思いますが(栽培元の賃金上昇など)、現在820JPY/200gなので驚きと伴に時代を感じます。こんなに高価になってしまったのか。もしかしたらマイルドカルディの味も変わっているのかもしれません。

つまりFIにいると日本の0.6倍の低価格で旨いコーヒーを飲めるということです(自身で淹れる場合)。

おわりに

FIにおけるコーヒーの接種方法について、基本的な情報を紹介しました(カフェインがどうのはどうでもいいです)。皆さんFIでコーヒーをおいしい飲みましょう。

(投稿を遅刻して投稿時点では12/3ですが、EET (UCT+2)ではまだ12/2の19時なのでセーフです)

余談

12月2日付でJPY/EURが大幅下げしていました(1杯のコーヒーJPY価格の計算の時に気づいた)。なぜ???160→135 JPY/EURなので、およそ15%の円高。(EUR/USDは安定でJPY/USDもそこまでなので、EUR資産家がJPYを買ったのか??)

2023年12月2日にJPY/EURが急落(円高進行、円安緩和)。

円建てで留学資金を得ている自身としてはめっちゃ助かりますが、今後はどうなるのでしょう?1日で15%も変動したらいまJPY→EURにして荒稼ぎな感じがしますが(急な変動なので160EUR/JPYに戻る可能性を考えて)、留学中はリスクを取るのはやめましょう(大切な留学資金には手を付けてはいけません。生活費をパチンコ競馬に使うのと変わりませんから。←とここで公言して自身に釘を刺しておきます)。この変動の理由がわからない経済情弱はFXに手を出してはいけません。

Flutterでのオブジェクト同一性の確認 identityHashCode

Firebase上の値を参照してオブジェクトを操作しているとき、FlutterでsetStateなどリビルドの際にオブジェクトを不本意に初期化していたりすると、同一オブジェクトを扱っていると思っていても実は違うオブジェクトでした(setState前の変更が引き継がれなかったり)、ということが起こる(自分は気を付けていても時々間違えるし、ほかの誰かが間違える)。

デバッグをしていて、同じスコープで参照できるオブジェクトを確認したい時は、ブレークポイントで停まったときにdebug consoleで単純にobjA == objBとして確認したらよい。

ただし今回のような場合はスコープが異なったり、setState前後のリビルドでかオブジェクトの実態が異なるかどうかを調べるためには、==を用いてその場で比較はできない。DartではobjA == objB の様にObjectの一致確認を行う際にメモリ上のアドレスやらを確認している様子なので、メモリのアドレスを取得しようとしたがDart/Flutterにはそのような機能はないらしい。

ドキュメントを調べると、今回の場合のような異なるスコープで、あるオブジェクトobjの同一性を確認するには、identityHashCode()によるハッシュ値を使用すればいいらしい。調べたい場面でブレークして、identityHashCode(obj)とするだけ。

ハッシュ値が返ってくるので、Stringで比較できる。