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モブおじの記録 (Programming, 統計・機械学習)

【令和5年最新版】高専生用 新しい形の学歴ロンダリング ★★★★★ 11件

こちらの記事は海外TUTアドカレの5日目に寄せた記事です。

4日目は今井裕之輔さん『高専生2度目の短期留学!in NZ🇳🇿』で、高専時代にニュージーランドへ留学した経験を紹介した記事でした。高専のプログラムで単純な語学交換留学だけでなく、工学系の講義が学べるのは非常に魅力的でうらやましいですね。

外TUTアドカレ5日目は、豊橋技術科学大学(TUT)で利用できる(公式の)海外渡航プログラム概要を紹介します。まずはじめにこれをやるべきだと思っていましたが、なぜかコーヒーの記事を先に予約していました(?)

はじめに

豊橋技術科学大学(TUT)には、

  • 海外実務訓練(短期・長期)、
  • 海外交換留学・インターンシップ
  • 情報知能工学系(3系、Department of Computer Science and Engineering)の留学プログラム(DDP/IMLEX)、
  • 機械工学系(1系:Department of Mechanical Engineering)の留学プログラム(DDP)、
  • 留学やら渡航とは直接関係がないものの国際活躍に重点を置いた教育プログラム Global Technology Architects Course (GAC)

があります(私が知る限り)。

ここで高専生にアピールしたいことは、これらプログラムによって学歴ロンダリング通常では得られない教育・経験が得られるということ。

今までの高専生のキャリアパスでは「高専本科→TUT/NUTの学士課程→日本有名大学の修士課程」が可能でした。

そしてこの記事を読むことで高専本科→TUTの学士課程→特定の専門性を持った海外大学」というグローバルなロンダリングが可能だということに気づくでしょう。

留学プログラム概要

海外実務訓練(短期・長期)・海外インターンシップ

TUTにはインターンシップが学士(Bachelor)の必修単位に含まれます(5年前知識。実務訓練と呼ばれている)。実務訓練では(研究室間の伝手は必要だが)海外の企業・研究機関(大学の研究室含め)を選択することができ、45日間(短期)もしくは5, 6か月(長期)のインターンシップを行います。学士の段階で海外でインターンシップ行うことができるのは非常に大きい。

身の回りではドイツ・フィンランド・スイスに6か月渡航した3例を観測しました(ダルムシュタットへの長期実務訓練についての記事)。

そして実務訓練とは別に、交換留学海外インターンシップという制度もあるようです。内容は個別で異なるため不明ですが、交換留学では交流協定校で工学を学ぶことができ(語学留学だけじゃない)、海外インターンシップでは海外の企業、官公庁、研究所、大学等における実習(研究や仕事)に対して単位がもらえる様子(修了要件には算入しないらしいが)。

Double Degree Program (DDP)

ダブルディグリー制度(DDP)は2大学に所属し各々単位の取得・研究を行うことで、2つの学位を修めることができるプログラムです。TUTでは海外大学への留学を含めたDDPが設けられています(詳細:TUT HPより「ダブルディグリー・プログラム」):

DDPではお互いの大学間で単位認定があるため、それぞれの学位に本来必要な単位数のいくつかを共有してより少ない単位数で学位を取得できます(1学位以上、2学位以下のボリューム)。

IMLEX (光イメージング情報学国際修士プログラム)

IMLEXはDDPを光学に特化させた3学位修得プログラムです。情報・知能工学の学生が応募できます。

拡張現実技術 (XR) の基盤となるイメージング、レンダリング、ライティング技術とその認知科学的作用を理解・習得し、ロボティクス、AI 等と組み合わせることで、拡張現実技術を社会実装可能なアプリケーションとして展開し応用できる 国際的人材を目指す、2年半の修士プログラムです。

以下の複数大学

  1. TUT、
  2. フィンランド大学、
  3. ルーヴェンカトリック大学(ベルギー)もしくは サンテティエンヌ ジャン・モネ大学(フランス)

を順次留学しながら光学(Color science, Optics, XR, Deep learning, 3D color-rendering等)を学び単位を履修、研究を終え、3つの学位を修めます。

グローバル学歴ロンダリング

学歴ロンダリングってなあに?という純粋な高専生のおともだちは、身近な高専の教員さんに聞いてみてね。学ロンは意外と身近にあります)

特定の企業からすると、高専出身者と言えばエンジニアリングに特化した優秀な人材、という印象があるでしょう(過去にその企業に就職したOB/OGがそういった印象を残したため)。ただそうでない企業からすると、「短期大卒ね」で終わるかもしれませんし、技術科学大学は(OB/OGの活躍やロボコンなどを知らない、学歴重視の企業からすると)大学偏差値で足元を見られるかもしれません(すべて私の私見・偏見です)。そういった企業を見返すためにも、学歴や資格・業績を積む必要があります。

そこで役に立つのがDDP/IMLEXです。上記の通り、DDP/IMLEXは交換留学とは違い、複数学位を修める履修プログラムです。つまりは複数大学に所属するということを意味します。つまり東フィンランド大学や、Jean Monnet、KU Leuven卒だぜ、と言えるのです(世界大学ランキングも調べてみましょう)。

そのため冒頭で示した「高専本科→TUTの学士課程→海外大学」というキャリアパスが履歴書に残ります。高専・技科大出身のエンジニアリングの強み+海外大学出身というグローバル要素を付加できるのです。それだけではなくEU圏の海外大学の学位は海外での就職活動にも役立つでしょう。

ただ「詐欺では?」と感じるかもしれません。ですが全くそんなことはありません(下記で説明します)。

学歴ロンダリングは悪いことではない

高専で即戦力となりえるような専門技術を学びながら、高専履修要項にはない日本大学センター試験のお受験科目のお勉強をすることは非常に難しいことです。学ロンでは一時的に大学学部(この場合はTUT)で専門技術・学術教育を受けながら、お受験のお勉強をして目的である他大学の修士課程の入学試験突破を目指します。

TUT学部で履修要覧にある義務を果たしながら、高みを目指して追加で努力することに負い目を感じることはありません。そして目標を海外大学とするグローバルロンダリングの場合、学部で学びながら海外大学で学ぶための英語力を鍛えることになります。

学部でいきなり海外大学へ目指すほど英語コミュニケーション能力(Reading, Writing, Lisning, Speakingのすべて)がある場合はこんなロンダリングは必要がないですが、皆さんご存じ日本の教育課程では手放しに身に付くわけがありません。技術に特化した学びを得ようと入学した高専では特に、専門技術を学びながら大学入学レベルの英語スキルを準備することは相応の努力を要し、さらにお受験もこなすことは多くの人にとって非常に困難です(技術他に特化していてグローバルなキャリアを望んでいても英語が苦手な人もいるはずです)。

つまりはTUTの教育課程の傍らで追加で努力して、高専では修得しきれなかった日常生活・講義の受講・研究でのディスカッションに必要な英語スキルを培おうということです。

日本の大学は入るのが困難で(高倍率お受験)、出るのが簡単(卒業研究は努力賞、卒論はポエム)と言われますが、海外大学はどうでしょうか?出るのが簡単であるはずがありません(さらに英語ですべてを行うわけですから、より厳しいはず)。海外大学を最終的に修了することができたなら、それは「相応の努力した」「学びを得て成果を出した」ということです。学歴ロンダリングは、努力の結果手に入るものです。

お受験を突破した純正エリートからしてみればずるいと言われるかもですが、履修要項は満たしているなら負い目はありません。高専生には+αで専門技術があるはずなので、その得意を誇りましょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか?TUTにおけるグローバルプログラムの概要と、その(学歴)キャリアパスについて紹介しました。今までは日本有名大学へのロンダリングが可能でしたが、今や高専生にとってTUTは海外大学へのゲートウェイ大学になったと思います。(自身の学歴ロンダリングを納得・正当化するためにこの記事を書きました)

ロンダリングの末のその後のキャリアパス(どういった企業に売り込めるのか、どれほど反応が良いかなど)は、だれか他の人が書いてくれると信じています。